スタッフの駄文
短編1、鍵山 雛
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 雨が降っていた。

 空は曇り、雨が大地に潤いを持たせる。

 そんな中、山の中で一人、空を見上げている少女がいた。

 鍵山雛。厄神様だ。

 彼女は空を見上げたまま動かない。まるで、何かを想起するかのように。

 彼女の頬に、雨水とは違う何かが流れた。

 雨水は唇に触れ、味の無い味を感じさせる。そんな中、それは塩辛さを感じさせた。

 涙だ。

「もう、帰ってこないのね」

 空に手を伸ばし、何かを掴もうとする雛。でも、そこには何も無い。

「あの人は、帰ってこない」

 彼女は人々の厄を代わりに背負う役目を負って生まれた。その運命の下に生まれた。

 そんな彼女を好きだといってくれた人がいた。

 ――でも。

 嬉しくても、彼女は彼には近付こうとはしない。厄が移るから。

 だが彼は、そんな彼女を優しく包み込んでくれた。あれから、彼女は男と会うようになってしまったのだ 。

 彼は命を惜しまない。惜しもうとはしなかった。 なぜなら、本当に彼女の事が好きだったから。



 男はあるとき、雛に告白した。そのときの言葉は、今の彼女の心に、しっかりと残っている。

 ……雛は、断った。

 自分は厄神、男は人間。付き合うことなんて、許されなかった。

 でも、その告白が、彼女の聞く最後の男性の言葉だった 。

 厄が、彼の身体を蝕んでいたのだ。もう二度と 、男は彼女の前に姿を現すことはなかった。

 あれからもう10年。いまだに彼女には悲しみの心が残っている。

 今彼女が立っているその場所は男に告白された場所。そして、今日は男の命日。

 曇天の下、彼女は涙を抑え切ず、泣いた。

 こんなことになるのなら、断らなければ良かった 。後悔の念が、彼女に迫る。

 でも、後悔をしても、彼は帰ってこない。

 本気で好きになったのに、好きだったのに……。

 断ったのは自分なのだ。そして、そうして突き放したのも他でもない自分。

 もし彼女の幸せを願えるのなら、それは誰だろう 。厄を恐れず、男性のようになっても良い、だから彼女の幸せを願おうという者などいるのだろうか?

 他人を幸せにするというのは、自身の命を惜しまず願うのが普通なのではないだろうか

 もしいるとすれば、それは彼方なのかもしれない 。いや、願えるのは彼方であると信じたい。それが 、今回この話を書いて伝えたかった、自分の意思だ。









「――シリアスは得意です。思い付いたら結構手が進んでますね。まぁ、ネタが浮かんだ時だけなのですが。
 今回の短編は、東方Vocalアレンジの「A seed of the misfortune」という歌を参考に書きました。正確に言えば、和訳をイメージして。
 雛の幸せって、幻想郷の中には願える人はいないのではないでしょうか。ただ厄を集めてくれるという感謝の気持ちだけで。
 まぁ、文章の最後に自分の言葉が入っているので、 後は自分が何を言いたいのかは察してほしいです。では、後書きはこれくらいにして……また短編を書きたいと思います。さようなら。」



 確固内はサイトに載せた時の後書きです。この小説、書いたのはもう半年以上前でしょうか。俺が書いた短編の中で一番うまくかけたであろう一作です。雛ってシリアス向きだよね←

 自分は風神録キャラが好きなので短編のネタが思い付くときも何故か風神録だけだったり。まぁネタが浮かんだからといって必ず短編は書きませんけど。
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