星が綺麗な夜は いつもと違う道で帰ってみて そうしたら、きっと 素敵な出会いがあるから 「悪い、先に帰っててくれないか」 「しかし、東吾さま。イメージキャラクターについての件で…」 「帰ったら、すぐ確認する。ちょっと、夜風に当たりたいんだ」 近日に、氷野グループから新しいソフトウェアが発表される為、それの準備やらなんやらで忙しい。学校にも断って今は会社の方に専念してるけれど。 度重なる激務に疲れの溜め息がもれた。 そんな時に窓の外に見えた星空に惹かれて、いつもとは違う帰宅方法をチョイスした。 真っ暗な道の途中に昼夜関係なく明るいコンビニがあり「…水でも買ってくか」と思ってひゅう、と吹く風に身を縮ませマフラーに顔を埋めながらコンビニへ足を向けた。 「いらっしゃいませえ」 深夜だからなのか、少し気だるげな声が閑散とした店内に響く。 真っ直ぐ水の売り場に向かう途中、いつもなら絶対に止まらないようなデザートのコーナーで立ち止まった。 「…これ」 何日か前に光が「美味しいから絶対食べてみてねっ」としつこく言ってきたもの。 「…感想を聞くとか何とか言ってたな」 目の前にラスト一個の…みかんゼリーを見つめる。 あんまり、こうゆう類いのものは食べないし、興味がないんだが。 光のあの感想を期待してた時のキラキラした表情が頭から離れず、仕方なくカゴに入れようとした瞬間。 ──ポイッ 横から伸びてきた手がみかんゼリーを取っていき、その手が持っているカゴの中に入れてしまった。 そんなに、欲しかったわけでもないけど…何てタイミングが悪いんだ、と苦笑いが溢れた。 「…あ、食べたかった?」 まるで歌っているかのような声に顔を上げる。 「あ、だいじょ…」 「君、他に…何買おうとしたの?」 フードを深く被っているため、なかなか表情が見えない。 「その水…だけど、なん…」 何でですか?という言葉はその人の行動によって飲み込まざる得なかった。 俺が欲しかった水をカゴにいれ、スタスタとレジに向かう背中を急いで追いかける。 「ちょ、何して」 「…俺、ちゃんと…稼いでるから…お金は…大丈夫」 そうじゃなくて!! 突っ込みどころ満載なのに、何故か突っ込む隙を見せない彼?彼女?はそのままスムーズに会計を済ましてしまった。 「行こう」 呆然としたまま、手招きをするその人に着いていくことになってしまった。 → w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |