ジェリ・ニールセン（Jerri Nielsen 1952年3月1日生）［アメリカ・医師］
オハイオ州セーラム出身。オハイオ州立大学医学部卒。ER（救急救命室）医師として働いていた46歳の時、南極点基地越冬隊の医師に志願し、1998年11月にアムンゼン・スコット南極点基地に着任する。しかし､越冬中に乳癌を発病、薬品も医療機器も満足にない脱出不可能な冬の南極点での過酷な闘病生活がはじまった。
全米科学財団は、軍用機を派遣し、彼女の治療に必要な医薬品の空中投下を決定した。1999年7月、気温-65℃、ブリザードが吹き荒れ暗闇に沈む南極点基地上空を、軍用機が低速・低空で飛行しながら医薬品を投下し、作戦は無事成功した。そして、緊急投下から3ヶ月後の1999年10月に彼女は奇跡的に救出され、その救出劇が全世界で報道された。
アメリカに戻った彼女はすぐに乳房切除術を受け、治癒に向かった。のち救出までの体験を『南極点より愛をこめて』として出版、全米でベストセラーとなった。しかし、2005年に癌が再発し、肝臓や骨に転移しているのが見つかった。それでも彼女は世界各地を周り講演活動を行っていたが、2009年6月23日、悪性脳腫瘍によりマサチューセッツ州サウスウィックの自宅で亡くなった。57歳だった。
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