及川道子（おいかわみちこ 1911年10月25日生）［女優］
東京都出身。東京音楽学校を卒業後、1924年12月、劇作家の小山内薫の紹介で築地小劇場に入り、「そら豆の煮えるまで」で初舞台。1929年、映画評論家の内田岐三雄の推薦を得て、松竹蒲田撮影所に入社。清水宏監督作品『不壊の白珠』でデビュー。その後、岡田時彦と組んで清水宏監督作品『恋愛第一課』『抱擁（ランブラッス）』、島津保次郎監督作品『頬を寄すれば』、五所平之助監督作品『愛撫（ラムール）』などに相次いで主演して、知的で清楚な清純派スターとして瞬く間に人気を得た。
しかし、元々肺を患っていた上に、撮影所の過酷な仕事も重なり、『家族会議』（1936年）を最後にスクリーンより遠ざかり、1938年9月、26歳という若さで亡くなった。死去に際して松竹の城戸四郎所長は「男の味を知らぬままで」と漏らしたという。
築地小劇場に入る以前より作家の渡辺温との交際があり、まるで兄のように慕っていたという。温の方も彼女と結婚をするつもりでいたが、肺病持ちのため家族に反対され叶わなかった。プラトン社の懸賞小説で温の作品『影』が一等入選となった際には、その賞金で彼女に新しい外套をプレゼントした、というエピソードが残っている。
1938年9月30日死去(享年26)
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