──ね、あの日も七夕だったね。



「あ、…今日七夕なんだね」

「ん、そんな時期か」



今日は俺と壱流だけ取材があって、天気が良いからとロケをした。
そして、その帰る為の車を待っている間暗くなり始めた空に広がる微かに見える星屑を見て、目を細めた。




「そっか、…もう七夕なんだね」

「なんだよ?」




少し前までは滅多に見ることの出来なかった柔らかい笑顔を、最近よく見せてくれるようになった。

俺、大好きなんだよ。その笑顔。



「壱流、…覚えてる?」

「琉、今日よく喋んな。眠くねえの?」


悪戯そうに俺に問い掛ける壱流に少し頬を膨らました。




「俺…最近、そんな寝てな」

「いや、寝てるから」

「……みかんゼリー食べたい」

「……琉」




───壱流は覚えてるかな。

俺らが…デビューして、すぐヒットして…最初は……キラキラした世界で壱流や利央や晴翔と色んな冒険できて…楽しかったのに。


売れた俺たちは…個々の仕事も……増えてきちゃった。


売れる、ってすごい感謝しなきゃいけないことなのに。




下手したら1週間会えなくなったその状況が……寂しくてたまらなかった。




グループだけで売るのじゃ…だめ、なんて知ってたけど。…メンバーに会いたくて…仕方なかったんだ。







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